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日弁連第三者委員会ガイドラインについて
日弁連が推奨する第三者委員会の活躍が報道されています。
そこで、
日弁連第三者委員会ガイドライン
をよく読んでみました。
第三者委員会は、一見万能な機能を持っていて、昨今注目されています。
ただし、人間は、誤判・誤謬を繰り返し、多くの悲劇を生んできたため、
立法権と行政権、司法権をそれぞれ独立させて均衡させ、
刑罰や不利益の根拠となる立法は、国会が担い
捜査・起訴は、行政権に属する警察・検察が担い、
独立した司法権たる裁判所が判断する という憲法の下に国民を保護しています。
そして、その司法権たる裁判所は、誤判・誤謬を防ぐため、基本的に三審制です。
しかしそれでも誤判・誤謬があることは、袴田事件など、歴史が残してきました。
この点、第三者委員会のガイドラインを見ると、第三者委員会には、
捜査に当たる証拠収集機能があり、司法権に相当する判断機能もあります。
ただし、そこに、誤判・誤謬の可能性に対する担保や、
適正手続・令状主義の精神の尊重の記載はありません。
今回の報道に接し、第三者委員会には、その万能の権能に基づき、
強大な権力と影響力(記者会見や報道)があることは否定できません。
そうすると、その反射として、不利益を受ける方もいるわけで、その不利益の前提として、
誤判・誤謬がある可能性は排斥できません(すべてが人間の行為だからです)。
そして、昨今のSNSや誹謗中傷等の影響を考えると、
その不利益にも、制度としてあらかじめ配慮するのが望ましいのではないでしょうか。
この制度が受け入れられ普及し、永続するためには、私は、弁護士として、
・誤判・誤謬への担保
(事実認定の誤認について、一定期間内に利害関係者が指摘できること等)
・適正手続や令状主義の精神の遵守
も、ガイドラインに盛り込まれれば・・と思います。
例えば、この度のフジテレビの件では、個人使用携帯電話がデータ復元され、前提として、
同意があったことが読み取れますが、報告書にあるように、会社対従業員の権力構造で、
真意に基づく同意の担保はあるのでしょうか。
警察等でさえ、同意がなければ令状が必要で、同意は、強制できません。
報告書にも記載のとおり、手続が公正で透明性があることは、何事においても必要です。
これだけの影響力を有するこの制度については、ガイドラインの拡充が必要だと感じました。