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取扱分野

犯罪の関係

当事務所の強み

1

刑事裁判官の経験がある弁護士による、専門的で戦略的な弁護活動を行っており、これまでに不起訴処分や無罪判決を得たことがあります。

2

接見や打ち合わせなども細やかに行い、ご本人及びご家族のサポートにも
尽くします。

刑事事件(事件の流れ)

刑事事件とは、捜査・裁判を経て、その人が罪を犯したかどうかや、どのような刑がふさわしいかを、証拠(書類など)を取り調べたり、本人や証人の話を聴いたりして、決める手続です。
我が国の制度では、検察官は、無罪が見込まれる者は起訴しないという権限を持っているので(起訴便宜主義といいます)、起訴された場合の有罪率は、99%を超えるとされています。
一般的な刑事事件の流れは、次のとおりです。

警察が捜査を行い、一定の証拠が集まれば、裁判所に逮捕状を請求し、これに基づき、犯人として逮捕されます。

最大で23日間、逮捕・勾留という身柄拘束が続き、その間警察署の留置場などで過ごすこととなり、取調べを受けたり、現場での実況見分に立ち会ったりします。
その後、不起訴あるいは起訴となります。

起訴された場合、留置場から拘置所に移動することとなりますが、保釈の手続をしない場合は、基本的に身柄拘束が続きます。
起訴から1か月前後で第1回公判が開かれます。

事件の内容に応じて1回から複数回の公判が開かれ、最後の公判で判決が宣告されます。
主な判決は、懲役刑・執行猶予付き懲役刑・罰金刑などで、懲役刑とは、実際に刑務所で服役する刑のこと、執行猶予付き懲役刑とは、懲役刑の言い渡しがあるも、執行猶予期間中(1年間から5年間)罪を犯さずに過ごせばその刑の言い渡しの効力が失われ、実際に服役しなくて済む刑のこと、罰金刑とは、一定の現金を納付すべき刑で、その金額が納付できない場合には、労役場に留置されることとなります。

刑事事件の弁護活動(自白事件の場合)

刑事事件の弁護活動は、その事件の当事者(被疑者・被告人)が疑いをかけられている罪を認めているか争っているかで大きく分かれます。

【罪を認めている場合】(一般的に「自白事件」といいます。)
この場合の弁護活動の大きな目的は、いかに刑を軽くすべきかとなります。
刑を軽くする要素としては、
① 事件の真実解明に協力する
② 事件の被害を回復させる
③ 反省し、更生の意欲を示す
④ 社会復帰した後の環境を整える
が挙げられます。

①事件の真実解明に協力するとは、いったん事件が発生すると、被害者が発生し、捜査機関も動き出します。その過程で、真実解明に協力することが被害者のためにも国家のためにもなると考えられており、具体的にいうと、事件の内容について、誠実に供述することが、刑を軽くする要素となるといわれています。もちろん、被疑者・被告人には黙秘権がありますから、言いたくないことは言わなくてもよいし、真実解明に協力すべき義務もありませんが、判決において、捜査段階から誠実に供述して真実解明に協力したことが、有利な情状として評価されていることは間違いがありません。

②事件の被害を回復させるとは、窃盗罪なら、盗んだ物の金銭を払うこと、傷害や性犯罪など心身を傷付けた場合には、その回復に見合う金銭を払うことをいいます。我が国の刑法では、国家的法益を害する罪、社会的法益を害する罪、個人的法益を害する罪の3種類に分けられており、その多くが個人的法益を害する罪(上記の窃盗や傷害、性犯罪のほか、強盗、詐欺、恐喝、脅迫、暴行等、多くの罪がこれに当たります。)ですが、これについては、被害を回復させることが、刑を軽くする要素として一番大きなものと考えられています。侵害された法益を回復させれば、その分罪が軽くなるという考え方によっています。弁護人としても、被害回復や示談の余地がある事件の場合は、まず一番にこの活動に取り組みます。

③反省し、更生の意欲を示すとは、捜査の過程で取調べがありますが、この中や、後日裁判となったときに反省の弁を述べたり、反省文を作成して提出したりすることです。また、同時に、どうしたら二度と犯罪を起こさないか、どのようにしたら社会復帰できるか、その方法を具体的に考え、それを裁判の場で示すことです。

④社会復帰後の環境を整えるとは、③の更生とも関連しますが、裁判や服役が終わった後、いかに二度と犯罪を起こさない環境を整えるかということです。環境が悪くて(例えば、若年者で、犯罪に誘ってくる仲間がいたような場合)犯罪を引き起こした場合には、その関係を断つこと、精神的に犯罪の原因があった場合には(例えば、性的衝動が強すぎて性犯罪に結びついた場合)、その精神面を変えるべく精神科治療を継続して受けること、金銭がなくて犯罪を起こした場合には、収入を得られる就職先を確保することなどです。また、一般的に、きちんとした仕事があり、養うべき家族や支えてくれる家族がある場合には犯罪を起こしにくいとされているので、就職先を確保したり、家族の絆を示したりすることが、刑を軽くする要素になるとも考えられています。そのため、ご家族の方に証人として公判で尋問に応じていただき、これらの点を立証するのにご協力いただくことが多々あります。

刑事事件の弁護活動(否認事件・冤罪事件の場合)

本当は犯人ではないのに犯人として逮捕された、いわゆる冤罪事件(否認事件ともいいます)の場合。このような事件の場合は、逮捕・勾留したり、起訴したり、警察や検察の権力が強大であるがゆえ、また、刑事訴訟法や刑法が複雑であるがゆえ、弁護士と協同して事に当たる必要性が強いといえます。

① 逮捕・勾留の段階
そもそも冤罪なので、身柄拘束の処分は不当です。そこで、「勾留取消しの申立て」といって、身柄拘束を争う申立てを行います。
また、否認事件の場合、逮捕に続く勾留の段階で、勾留に付加して、「接見等禁止の処分」といって、弁護士以外との面会を禁止される処分が付くことがあります。冤罪の場合、勾留そのものを争いますが、仮に勾留の決定は覆せなくても、この接見等禁止の処分も争うべきです。
この接見等禁止の処分は、勾留に付加して、被疑者・被告人に自由な面会を許すと、面会した者を通じて事件の関係者(被害者など)に働きかけて証拠を隠滅するおそれがあると考えられる場合に、検察官が裁判官に請求し、裁判官が下すもので、冤罪事件の場合、勾留+接見等禁止の処分が出ることが少なくありません。
もっとも、この接見等禁止の判断に関しては、裁判所によって判断感覚が異なるのが実情ですし(筆者は大阪地裁の令状部で裁判官としてこの判断を担当したことがあり、その後、弁護士として福岡でこの処分を受けた方の弁護を担当したこともあり、また、福岡の裁判官と協議したこともありますが、大阪より福岡の方がこの判断を出しやすく、「被疑者・被告人の人権侵害は最低限に」という考え方は、大阪の方が強いように感じています。)、裁判官の判断が不当だとして上訴してひっくり返ることも少なくありません。
そもそも、「面会した者を通じて事件の関係者などに働きかける」ことが可能なのは、事件の関係者の居所などを知っている場合、それから、面会した者にそのような力がある場合(暴力団関係者など)ですが、このような場合は決して多くありません。例えば、電車内でたまたま前にいた女性への痴漢事例の場合、被害者の氏名すら知らないのですから、働きかけは不可能です。以前はこのような事例でも接見等禁止となることがありましたが、これは明らかにおかしいといえます。
このように、冤罪なのに、勾留+接見等禁止の処分があった場合には、その処分の正当性をしっかりと争うのも弁護活動の一つの柱です。

② 不起訴処分に向けて
そもそも冤罪なのですから、起訴される理由がありません。起訴までの期間に、弁護側としても無罪の証拠を集め、検察官が起訴の判断を行う前に、それらの証拠と共に「意見書」を作成し、不起訴を求めます。冤罪の証拠とは、例えば、被害者の言い分とは正反対のことを言ってくれる証人や、事件の当時は犯行場所とは別の場所にいたという携帯電話の記録などです。意見書では、これらの証拠を引用しながら、被疑者が無罪であることを説得的に展開していきます。
また、冤罪とは異なりますが、責任能力に問題がある場合には、以前から事件当時にかけての精神的医療に関するカルテなどを添えて、責任能力がないため不起訴を求めるという内容の意見書を提出することもあります。

③ 公判の段階
冤罪であるにもかかわらず、残念ながら起訴されてしまった場合には、公判で無罪を勝ち取るべく弁護活動を行うことになります。
現在ほとんどの否認事件では、「公判前整理手続」といって、公判が始まる前に争点と証拠を整理する手続がありますので、ここで被告人が冤罪である=犯人でないことを争点とし、そのため立証計画を提示していくこととなります。
その立証としては、証拠書類の取調べのほか、被害者がいる事件の場合には、被害者の証人尋問、その他事件の関係者の証人尋問、被告人本人への質問(法律上、「証人尋問」、「被告人質問」という言い方がされています。)などです。

少年事件

少年事件とは、20歳未満の者(法律で「少年」といいます)が罪を犯した場合の手続のことで、家庭裁判所で、「少年審判」という裁判に相当する手続が行われ、少年審判官(裁判官に相当)によって処分が決められます。
一般的な少年事件の流れは、次のとおりです。

警察などが犯人として逮捕します。

取調べなどの捜査を受けた後、1~3週間前後で、警察署から家庭裁判所に送られます。

家庭裁判所に呼ばれて、「鑑別所」に送られる決定を受けることがあります。

この決定を受けると、基本的に4週間(殺人などの重大事件の場合は8週間)鑑別所で過ごすこととなり、その間、調査官(少年自身の心や体の状態、家庭環境、生い立ちや、事件のことなどを調査して、少年の未来のことを考える役割を持った者)の調査を受けたりします。

事件の内容や、この調査官の調査結果を受けて、家庭裁判所で審判を受けます。
その結果、「不処分」、「保護観察」、「少年院送致」などの処分を受けます。
「不処分」とは、事件の内容が軽いなどのために、その件に限っては特段の処分をしないこと、「保護観察」とは、少年院送致の必要はなく、社会内で更生が可能であるが、その更生を支えるため、保護観察官の指導等を受けること、「少年院送致」とは、その少年が更生するためには少年院で矯正教育が必要と判断されて、一定期間(短期から長期)を少年院で過ごすべきとされる処分のことです。

少年事件の概要は以上のとおりですが、少年事件は、このように刑事事件(刑事事件(事件の流れ))より捜査が始まってから処分(審判)が出るまでの期間が短い上、少年法という特有の法律が適用され、また、調査官との関係もありますので、少年事件に詳しい弁護士にご依頼されるのがよいかと思います。 そして、少年法では、「少年には可塑性がある」という精神があり、いったんは犯罪を犯してしまったとしても、更生してやり直すことができる柔軟性があると信じられており、少年事件では、この可塑性の観点からの検討も必要となります。

犯罪被害に遭ったら

以前我が国の法制度は、犯罪被害者の手当てが不十分であるといわれており、その指摘を受け、また、数々の犯罪被害者の方の立法へのご努力もあり、次のように法整備されてきました。法や制度の案内は、法務省のホームページが詳しいですが、以下に主なものを簡単に紹介いたします。

① 被害者支援員制度と被害者ホットライン
犯罪被害に遭うことは、だれしも予想していないことです。そこで、その突然のとまどいなどに応じるため、検察庁内に、「被害者支援員」が置かれています。
また、被害者の方の問い合わせに応じるため、検察庁内に「被害者ホットライン」という電話窓口もあります。

② 被害者等通知制度
被害者に対し、事件の処分結果や刑事裁判の結果、犯人の受刑中の刑務所における処遇状況、刑務所からの出所時期などに関する情報を提供すべく、被害者等通知制度というものがあります。
被害者の方がこれらの情報を知りたい場合には、担当する検察官や被害者支援員などに希望の有無や通知を希望する事項を伝えれば、後日通知されます(ただし、検察官等の判断により、通知されない事項もあります。)。

③ 犯罪被害者等に関する情報の保護
公判では、基本的には、被害者の氏名等が公開されますが、被害者が特定されることにより被害者の方の名誉や社会生活の平穏が害される場合などでは、「秘匿決定」といって、被害者を特定できる氏名等を明らかにしないという手続があり、例えば、現在の性犯罪の公判では、ほとんどこの秘匿決定がされ、被害者の氏名が読み上げられることはありません。

④ 証人尋問における保護
被害者となった場合でも、被告人の公判での争い方次第では、被害者自身が、証人として、証人尋問に応じなければならない場合があります。
この場合、被害者の精神的負担を軽くするため、被害者に別の人(年少者の場合の保護者など)が付き添うこと、証人の周りをパーテーションなどで囲って、傍聴人から見えないようにすること、被害者は公判とは別の場所に待機してビデオリンク方式で尋問を受けることなどの措置があります。

⑤ 被害者参加制度
以前は被害者が公判そのものに参加する法制度はありませんでしたが、近年の法改正により、被害者参加制度として、一定の事件の被害者やご遺族の方が、公判期日に出席したり、被告人に質問したり、心情等の意見を陳述したりできるようになりました。

⑥ 犯罪給付金制度
通り魔殺人等の故意の犯罪行為によって家族を亡くされたご遺族などに対して、国が給付金を支給する制度があります。
申請は、申請者の住所地を管轄する都道府県公安委員会に対して行うこととなっており、管轄の警察署などに申請書と必要書類を出すことが必要で、詳しいことは最寄りの警察署などが担当しています。