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取扱分野

労働・労使問題

当事務所の強み

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これまで、会社側・労働者側共に、たくさんのご依頼をいただいてきました。

2

しっかりとご事情をお聴きした上で、迅速かつ円満な解決を目指します。

労働・労使問題に関する法律

いわゆる労働法という言葉をよく聞きますが、「労働法」という名の法律はなく、
労働基準法
労働組合法
労働関係調整法

の3つの法律が、労働三法といわれて、労働を巡る中心的な法律であるとされています。

例えば、「就業規則」という言葉もよく耳にしますが、これは、労働基準法(89条)によって、
「常時10人以上の従業員を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届けなければならない。」
という定めに基づくもので、法的トラブルでは、解雇に関する就業規則などがよく問題となります。
また、労働を巡っては社会情勢に大きな影響を受けますので、その時々で立法的手当てがされることがよくあり、
例えば、育休に関し、
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
派遣社員に関し、
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(いわゆる労働者派遣法)
パートに関し、
短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(いわゆるパートタイム労働法)など、細かな法律も林立しています。

このように多くの法律が存在する分野ですが、共通しているのは、労働とは生活の基本であり、労働者は使用者に比べて弱い立場にあることから(低賃金、サービス残業、長時間労働など)、労働者の立場を保護すべきという根本的考え方があることです。
さらに、労働の分野では、社会保険労務士という労働専門の資格もあり(なお、弁護士は、登録すれば、この社労士を兼務できるとされています。)、場合によっては、弁護士と社労士が連携してサポートすることもあります。

労働審判について

平成18年から、労働を巡る法的問題に関し、労働審判という制度が創設されて利用が始まりました。そして、この労働審判は、近年の法的制度整備については一番の成功例であったともいわれ、大変よく利用され、利用した方の満足度も高いそうです。

労働審判以前は、労働問題についても、「裁判になると時間がかかる」という難点がありましたが、労働審判は、
労働審判官(裁判官)1名と労働問題に関する専門的知識と経験を有する労働審判員2名で構成された「労働審判委員会」が、
原則として3回以内の期日で審理して(平均審理日数は、申立てから終了まで70日前後だといわれています。)、
適宜調停(話合い)を試み、これによる解決ができない場合には審判がされる、
という制度です。

裁判所においても、ある程度の規模がある裁判所では労働審判専門の部署があり、申立てから審理まで、手続に精通した書記官や裁判官が担当するので、専門的かつ迅速な審判運営がなされているという印象があります。

当事務所でもこれまでに多くの労働審判の経験がありますが、きちんとした申立書や反論書、証拠の準備が必要な一方、準備さえすれば、専門的かつ積極的な裁判所の指揮の下、充実した審理や柔軟な話合いが行われ、弁護士だけでなく、同行する当事者ご本人の方も主体的に参加できるような雰囲気で進んでいき(必要に応じてご本人から話を聴いたり、ご本人に説明がされています。)、一方で原則3回以内の期日で審理するというしばりもあるので、迅速で中身が濃い審理がなされ、その中で話合いで解決することも多く、ご本人が納得して事件が終わる例がほとんどでした。

このように、労働審判は利用した方の満足度が高いといわれており、利用しやすい手続となっているので、労働問題については、労働審判での解決を図ることも少なくありません(労働審判に至る前の交渉で解決すればもちろんそれが一番ですが、それが不可能でも、労働審判で柔軟な解決が図れる可能性も大きいです。)。

未払い給与や残業代のトラブル

未払いの給与があれば、もちろん会社に請求することができます。また、未払い分については、本来支払われる日からの遅延損害金(5%か6%)も上乗せして請求することができます。
もっとも、給与(賃金)については、法律(民法)で時効が定められており、その期間は2年とされているので、請求できる状態になってから2年が経過すると請求が難しくなります。

また、近年、残業代のトラブルが多いとされています。
残業代については、分かりやすくするため、あえて細かいことを省略して説明すると(そのため細かな点は正確ではありません。)、
残業代とは、
所定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えてされた労働に対する対価で、
① 時間外労働について、通常賃金の1.25倍
② 休日労働について、通常賃金の1.35倍
③ 深夜労働(22時〜5時の労働)について、通常賃金の1.25倍
で計算します。また、残業が深夜に及んで22時を超えてしまったような場合は、①と②が重複するので、25%+25%で、1.5倍で計算します。

このような残業代を請求する場合は、まず残業したことを立証する必要があり、タイムカードなどがあればよいですが、たとえなくても、例えばパソコンのログインとログアウトの時間、取引相手に電話をしたりメールをした時間、関係者の証言などからも立証することができます。

なお、労働基準法41条が労働管理者については残業代が支給されないと定めており、巷でも「管理職は残業代が出ない」という理解が一般かと思います。これは、労働管理者、いわゆる管理職は、労働時間という概念がふさわしくないと考えられているからです。他方で、以前報道等でも問題になりましたが、「名ばかり管理職」として、管理職におくことによって残業代を支給しないという不当な方法もありました。

そこで、「管理監督者」といえるどうかは、管理職という名目・役職があるかどうかでなく、
・ 経営者と一体的な立場で仕事をしていること
・ 出社・退社や勤務時間について、厳格な制限を受けていないこと
・ その地位にふさわしい待遇がされていること
などの、実質的な観点から判断されています。
なお、管理監督者であっても、深夜割増賃金、有給休暇については、一般社員と同様に取り扱われなければならないとされています。

不当解雇のトラブル

労働・労使問題のご相談でよくあるのが、「不当解雇ではないか」というものです。
解雇とは、会社による一方的な労働契約の解約で、労働者の承諾は要件とはされていません。
一方で、労働は生活の糧ですから、労働者側からすると、その承諾なく自由に解約(解雇)される事態は、基本的にはあってはならないことです。
したがって、解雇については、会社は、労働基準法で定められた手順や要件をきちんと守らなければなりません。

なお、解雇には、懲戒解雇と普通解雇があり、
懲戒解雇とは、特定の行為に対して制裁(罰)としてされる解雇のこと、
普通解雇とは、このような制裁ではなく、適格性の欠如や成績不良等のために労働契約を終了させようとする解雇のことをいいます。

そして、懲戒解雇については、労働契約法15条で、
「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該解雇が、当該解雇に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該解雇は、無効とする。」
という制限があり、
普通解雇についても、同法16条により、
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
とされています。
また、普通解雇については、原則として、少なくとも30日前に予告しなければならず、即日解雇する場合には、30日分以上の解雇予告手当が必要です。
そして、解雇された労働者は、解雇理由等について証明書(解雇理由証明書)を請求する権利もあります。

解雇を巡るトラブルについては、まず、解雇理由等を明らかにした上で、上記の要件を満たした解雇かどうかを検討し、解雇は不当であるとして、なお従業員としての地位を有することの確認や賃金の請求、あるいは会社に戻るつもりはないとして、一定の金銭で解決するなどの途を探っていくことになります。