離婚
浮気して出て行った相手に婚姻費用?
遺言公正証書の続きのお話もありますが、本日は、婚姻費用について。
(ちょうど、当事務所でお請けした件で、裁判所から良い判断をいただいたので。)
別居中の夫婦でも、収入がある方(多くは夫でしょうか)は、
ない(少ない)方の生活費を負担する義務があります。
これが婚姻費用と言われています。
その相場はある程度決まっていて、裁判所のサイトでも公開されています。
(「婚姻費用」「算定表」などで検索)
例えば、収入500万円の夫と専業主婦の妻が別居、その間に0〜14歳の子一人、
という場合、夫は8〜10万円の婚姻費用を負担して、妻に送金等すべきとされています。
では、別居の原因が妻の浮気だったら?
妻が勝手に浮気をし、子供を連れて浮気相手のところに出て行って別居となった場合は?
この場合でも、同じような額を夫が負担すべきというのは、
明らかに不公平で不正義です。
当事務所でもこのままではありませんが、似たような事例をお請けし、
裁判で、妻が浮気したことなどを立証し、
「夫が負担すべき婚姻費用は、【信義則上】軽減されるべき」
という主張をしました。
その結果、裁判所の判断は、妻の浮気を認定した上、
「夫の負担額を、信義則上一部軽減する」というものでした。
婚姻費用というのは、本来、別居中の妻あるいは夫、そして子供の生活を支える、
大切なものです。
軽々に減額することはできません。
もっとも、浮気で出て行った場合など、出て行かれた方にその負担を強いるのが、
かえって不公平となる場合もあります。
そこで、個々のケースに応じ、相当で、正義にかなった婚姻費用に導くこと、
これが、弁護士の大切な職務であると痛感いたしました。