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コラム

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分かりやすくご紹介できればと思っています。

刑事事件

初期供述の重要性「身に覚えがありません」

初期供述をよく検討するように。
刑事裁判官として、先輩に教わったことです。

裁判は、過去の事実を、後から証拠によって認定するものです。
人が行うものなので、誤りの可能性があります。
(もちろん、細心の注意と努力が前提ですが。)

そのために、事実認定のための経験則やルールが構築されています。

その一つが、「初期供述は何か?」です。
人間が謂れのない疑いをかけられたとき、本当にやっていなければ、
素直に「やっていない!」と出てきます。
ただ、本当はやっているけれど、やっていないと言いたいときは、
「覚えていません」「身に覚えがありません」となることがあります。
日本人は、道徳的に嘘がいけないと刷り込まれているため(長所でもありますが)、
咄嗟に嘘をつけないことも多いからです。
そのため、真実はやっている場合、「やっていません」より、
「身に覚えがありません」と言うことがあります。
「覚えがない」というのは、「やっていない」という嘘にまではならないから・・

ただ、覚えていないというのは、実は、やっていない記憶もない、ということなんですが。

初期供述は、逮捕のとき、勾留質問のとき、などと、必ず書類に残されています。
事実を否認している場合に、これらの初期供述が、
「やっていない」「それは私がしたことではない」「私とは関係がない間違いだ」
とはっきり言っているかどうか、
逆に、「覚えがない」という消極的な否認なのか。
これらをよく検討するよう教わりました。

その結果、日常生活でも「身に覚えがない」と言う方に遭遇すると、
この経験則がむくむくと頭をよぎります。

冤罪で警察官等に声をかけられることはまずないと思いますが、万が一のときは、
「それは私とは無関係のことで、私はそんなことはやっていません!」
と明確に述べて、書類に録取してもらいましょう。
裁判官は、初期供述をよく見ています・・・

そのほか、「嘘つきは泥棒のはじまり」について思うことがあり。
いつかコラムにします^^

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