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取扱分野

遺言と相続

当事務所の強み

1

元公証人の弁護士が在籍しており、遺言関連事件の取扱件数が豊富です。

2

税理士とも連携して、税金面やご相続人間の調整など、将来を見据えた、細やかなお手伝いをいたします。

相続とは?遺言の種類と効力

相続とは、だれかが亡くなったときに(亡くなった方を法律上「被相続人」といいますが、ここでは以下「ご本人」といいます。)、ご本人の財産(プラスのもの【預貯金や不動産など】もマイナスのもの【借金や住宅ローンなど】も全部)が、その子供たちなどの「相続人」に引き継がれることをいいます。

法律(民法)で、この引継ぎのことを「相続」といい、ご本人が亡くなった場合、当然に自動的に(特に手続を経ることなく)この引継ぎが開始することとなっており、だれが相続人となるかも、法律で決まっています。
また、相続人となった方のそれぞれの取り分(「相続分」といいます。)も、法律で決まっていますが、相続分は、遺言や、相続開始後の相続人間の話合い(「遺産分割協議」といいます。)で法律と異なる割合を決めることができます。
(相続人と相続分については、相続人とは?相続分とは?参照。)

まずは、遺言の種類と効力について説明します。
遺言とは、簡単にいうと、
自分の財産について、その死後、だれにどれくらい渡すかを決める意思表示、
のことをいいます。
遺言があれば、残された相続人は、基本的には、遺言に添った財産分けをすることとなります。
このように、遺言は、自分の死後の財産の帰属先や分け方を決める強力な効力を有するものなので、法律で有効であるための要件が厳しく定められており、この要件を満たさないものは、無効とされてしまいます。
そして、遺言は、法律上、
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
の3種類しか認められておらず、それぞれに異なる要件が定められています。

この3種類のうち秘密証書遺言はあまり活用されていないので、自筆証書遺言(自筆証書遺言の書き方)と公正証書遺言(公正証書遺言のすすめ)について、それぞれの項目で詳しく説明いたします。

自筆証書遺言の書き方と検認

自筆証書遺言とは、民法976条1項で、
「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」とされています。
まず、その内容全文を自分で書くことが必要で、パソコンやワープロ書きでは無効となります。
そして、その内容の一例は、

1 遺言者は、別紙1記載の不動産を、妻山田花子に相続させる。
2 遺言者は、別紙2記載の預金と株式を、長男山田太郎に相続させる。
3 遺言者は、別紙3記載の預金を次男山田次郎に相続させる。
4 遺言者の○○銀行△△支店に対する借入金債務は、長男山田太郎が負担し、他の相続人に負担させてはならない。
 別紙1:不動産目録/別紙2:預金・株式目録/別紙3:預金目録を添付。


などです。訂正がある場合には、その部分に訂正印を押す必要があります。
そして、日付を記載しますが、「2015年10月1日」と特定できる具体的な日付の記載が必要で、例えば、「平成27年10月吉日」などという記載は無効であると考えられています。
最後に、氏名を自書し、押印することが必要ですが、押印は、認印や指印でも有効だとされています。
自筆証書遺言は、以上の要件があり、これに従っていないと無効となっていますが、逆にいうと、これさえ守れば有効となり、役所に行ったり証人を立てたりすることなく自分一人で書け、特段費用もかからないので、よく利用されています。
また、最近では「エンディングノートの書き方」などとして本が市販されていて、これに従ってかけば有効な遺言となるようなアイテムも簡単に入手できます。
ただ、自筆証書遺言で一つ重要なのは、遺言者の死後、遺言書を保管あるいは発見した人が、家庭裁判所において、これを確認するための「検認」という手続を受けなければならないこととなっていることです。
また、封印されている遺言書は、この検認の場でしか開封してはならないこととなっており、検認をしないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言を開封した場合には、5万円の過料に処するという罰則の規定もあります(民法1005条)。

公正証書遺言のすすめ

公正証書遺言とは、
公証役場で、二人以上の証人が立ち会って、遺言者が、公証人に遺言の内容を口頭で伝え、公証人がその真意を正確に文章にまとめて作成する遺言書
です(民法969条参照)。

公証人とは、長年裁判官などを務めた経験がある専門家で、日々遺言書作成などの業務を行っています。したがって、その関与の下で作成される公正証書遺言は、要件の不備などはまずありませんし、遺言書原本を公証役場で保管してくれるので、紛失や廃棄、改ざんの可能性もありません。
また、関係者には遺言書の正本などが渡され、相続開始後はそれによって遺言の執行ができ(具体的には、相続した預金を引き下ろしたい場合、渡されていた公正証書遺言正本と、相続の開始や相続人であることを証明する戸籍謄本等、銀行が指定する必要書類を持参すれば、自分でその手続を行うことができます。)、また、自筆証書遺言のところで説明した「検認」の手続を受ける必要もありません。

このように、公正証書遺言は、内容や保管に間違いがなく、相続開始後(ご本人の死後)の手続も比較的簡単なので、弁護士が遺言書作成のご依頼を受けた場合には、この公正証書遺言をお勧めし、その文案作成のお手伝いや、公証役場への付き添いも行うことが多いです。
もっとも、この公正証書遺言のデメリットは、このように公証役場に行く必要があり、作成費用として、弁護士費用のほか手数料として数万円(遺言で残そうとしている財産の額による)を負担する必要がある点が挙げられます。

相続人になるのは?相続分とは?

法律(民法)は、だれが相続人になるか、またそれぞれの相続人の取り分についても定めをおいていますので、これをできるだけシンプルに説明いたします。
まず、ご本人に配偶者(夫・妻)がいる場合は、その夫や妻は、必ず第1順位の相続人になります。
それと同時に、
① ご本人に子供もいれば、その子供も、
② 子供がいなければ、ご本人の直系尊属(父母など)が、
③ ①の子供、②の父母もいなければ、ご本人の兄弟姉妹が、

それぞれ相続人となります。

そして、その相続分は、
① 配偶者と子供が相続人の場合
配偶者:子供=1:1(子供が複数いる場合は、子供の取り分を等分する。)
② 配偶者と父母が相続人の場合
配偶者:父母=2:1(父母複数の場合は1を等分)
③ 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者:兄弟姉妹=3:1(兄弟姉妹複数の場合も1を等分)
となります。

例えば、ご本人が妻と子供二人を遺して亡くなり、ご遺産が1000万円の場合、妻500万、子供がそれぞれ250万円という取り分になります。
なお、このほかに「代襲相続」という制度があって、本来生きていれば相続人となるべき者が既に亡くなっている場合、その者の相続人がご本人の相続人になるとされています。例えば、ご本人が妻と次男を遺して亡くなり、長男はご本人より先に亡くなっているが、長男に子供がいるという場合のご本人の相続人は、妻・次男・長男の子供、ということになります。

相続放棄と承認

相続放棄とは、簡単にいうと、「相続人とはならない」手続です。
法律でだれが相続人となるかが決まっているので、ある特定の方が亡くなると、その相続人が自動的に決まります。とはいえ、相続人となると、亡くなったご本人のマイナスの財産もすべて引き継ぐので、例えばご本人に多額の債務があるなどの場合には、「相続人となっては困る」というケースもあるわけで、このような場合のために、相続放棄という制度があります。

相続放棄をしたい場合には、相続があったことを知ったときから3か月以内に、亡くなった方や相続放棄をしたい方の戸籍等必要書類を用意し、家庭裁判所において、相続放棄の申述というものをすることになります。
なお、この3か月という期間制限については、財産調査などに時間がかかることを説明すれば、家庭裁判所の決定で延長措置が受けられます。

以上が相続放棄ですが、相続人となるべき方が放棄をしない場合には、相続人となってその財産を引き継ぐことになります。これが承認です。承認は単純承認と限定承認とがあり、単純承認が基本で、ご本人の財産の全部(プラスマイナスを問わず)を引き継ぐものです。上記の相続放棄、それから次の限定承認をしなければ、単純承認をしたことになります。

限定承認とは、相続財産にプラスのものもマイナスのものもある場合に、相続したプラスの範囲でだけマイナスのものを引き継ぐという制度(すなわち、マイナスを引き継いだとしても、自分の固有の財産から手出しをする必要はない。)です。相続放棄と同じように、原則として3か月以内に、家庭裁判所で限定放棄の手続をしなければなりません。
なお、相続放棄や限定承認の準備中に、相続財産の全部又は一部を処分してしまうと、単純承認をしたとみなされてしまうので、相続財産に手を付ける際には注意が必要です。

遺産分割協議とは?

相続放棄や承認を経て、相続人が決まると、次はその分け方が問題となります。
そして、分け方については、まず、遺言がある場合には、その内容に従うことになります。
遺言がない場合、また、遺言に書かれていない財産が判明した場合には、相続人全員で、遺産をどのように分けるかを協議することとなり、この協議を、遺産分割協議と呼んでいます。
また、遺言があっても、遺言執行者が定められていない、遺言に反する遺産分割が禁じられていない、などの場合には、相続人全員で、遺言と異なる遺産分割協議を行うことは可能です。
遺産分割協議が整うと、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書の例を挙げると、

遺産分割協議書
[被相続人の表示]
氏名  
本籍
最後の住所地

 上の者(以下、「被相続人」という。)の死亡によって開始した相続につき、被相続人の法定相続人である①、②及び③において、次のとおり遺産分割の協議が成立したので、相続人全員末尾に署名及び実印による捺印の上、本協議書原本3通を作成し、各自が保管する。

遺産分割協議事項

第1 相続人①は、次の遺産を取得する。
   (預金)◯◯銀行?支店 普通預金 口座番号123456
第2 相続人②は、次の遺産を取得する。
   (現金)~万円
第3 相続人③は、次の遺産を取得する。
   (土地)(詳細略)
第4 相続人①は、第1記載の遺産を取得した代償として、~までに、
  1 相続人②に対し100万円を、
  2 相続人③に対し200万円を、
  それぞれ支払う。
第5 その他関連事項
1 本協議書記載の遺産については、特別受益、寄与分の主張を含め、本協議書に定める方法で解決されたものとし、相続人間では、本協議書に定めるほか、相互に何らの債権債務がないことを確認する。
2 本協議書に記載なき遺産及び後日判明した遺産については、相続人全員が協議の上定めるものとする。


というような感じです。
遺産分割協議書に特別な様式はありませんが、後日これをもって銀行や不動産の手続を行うので、この手続の際に不備を指摘されないようにすることが大切です。弁護士だけでなく、税理士なども遺産分割協議書の作成をサポートしてくれますが、当事務所で遺産分割協議書の作成をお手伝いするときは、可能であれば、署名捺印前に、関係銀行などに、その協議書(案)で後日の換金等に問題がないか、チェックしてもらうこともあります。

遺留分・寄与分・特別受益と調停や審判

遺留分とは、一定の相続人のために、法律(民法)上取得することが保証されている遺産のことをいいます。
例えば、妻と子供二人がいるご本人が亡くなり、遺言で、妻にだけ遺産を渡すとされていても、子供二人には、遺言内容に反して、一定の範囲の遺産を受け取る権利があります。そして、この権利を行使することを、「遺留分減殺請求」と呼んでいます。

遺留分を保証されている相続人は、ご本人の配偶者・子供・父母で、ご本人の兄弟姉妹にはありません。その割合は、法律で、配偶者・子供は遺産の2分の1、父母は3分の1と決められています。上の例にこれを当てはめると、子供二人は、遺産の2分の1につき、それぞれ等分の遺留分があるので、子供一人につき、4分の1の遺留分があります。
なお、遺留分減殺請求については、自分の遺留分が侵害されていることを知ったときから1年以内、あるいは相続の日から10年以内に請求しなければならないとされています。

次に寄与分と特別受益について説明します。
いずれも相続人間の公平を図るためのもので、
寄与分とは、ご本人の財産の増加や維持のため、特別な貢献をした相続人がいる場合には、その相続人にその貢献分だけ多く遺産を取得させること、
特別受益とは、ご本人から、その生前に特別に利益が得ていた者がいる場合には、ご本人からの相続時に、もらいすぎにならないよう調整すること、
をいいます。

遺産分割協議においては、これらの遺留分や寄与分、特別受益なども協議の対象となり、相続人間の任意の話合いではうまく協議が整わないこともあります。そのような場合には、家庭裁判所における遺産分割調停の申立てを行い、家庭裁判所の関与の下で話合いを行い、場合によっては審判という裁判官の決定を得ることもあります。
なお、これまでの当事務所の経験では、当事者間の話合いではなかなか合意に至らなくても、調停を申し立て、双方が資料を準備し、調停委員の下できちんと議論すれば、落ち着きどころの良い(双方がそれなりに納得できる)結論に至った例が多かったです。

相続税対策(生前贈与など)

一般的に、相続税は高額であるといわれていて、その税率は、遺産が
1000万円以下→10%
3000万円以下→15%
5000万円以下→20%
1億円以下  →30%
などとされています。

なお、相続税には基礎控除というものがあり、一定の額は課税の対象とはなりませんでしたが、平成27年1月1日以後の相続から、基礎控除の範囲が、
3000万円+600万円×相続人の数
に縮小されました(それ以前は、5000万円+1000万円×相続人の数)。
これによって、相続税を収めるべき人の数も額も増えることとなり、併せて、平成27年1月1日から、遺産が2億円超〜3億円以下と6億円以上の場合の各税率も引き上げられているので、全体的に、相続に対する課税の負担が大きくなっています。
これらにより、今までより更に生前に相続税のための対策をしておくことの必要性が指摘されており、その方策の一つとして、生前贈与があります。

生前贈与とは、その名のとおり、生きているうちに贈与を行うことですが、贈与税も高いので、生前贈与を行う場合には、その非課税の範囲、すなわち110万円までは非課税とされていることを利用することとなります。また、住宅取得資金の贈与については、更に別の非課税の特例もあります。
そのほか、生前贈与を行うと同時に、「相続時積算課税制度」という制度を利用すると、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与であることなどの要件を満たすと、ある一定の生前贈与を行っても、相続時まで課税されない(ただし、結局は相続時に課税される。)という制度もあります。
このような税制については、税理士が専門家ですので、遺言や相続税対策を検討される場合には、弁護士と税理士による連携サポートが望ましいといえます。

死亡届・準確定申告・相続税申告など手続の流れ

ご本人が死亡された後の手続の流れを簡単にまとめます。

① ご親族などが、ご本人の死亡を知った日から7日以内に、ご本人の死亡地や本籍地の市役所・区役所などに死亡届を出すことが必要です。

② お葬式などが落ち着かれた後、遺言書があるかどうかを確認し、自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認の手続が必要です。

③ この検認や、今後の相続に伴う手続のため、ご本人の誕生から死亡までの戸籍一式、それから、相続人となる方の戸籍を取り寄せる作業も必要です。

④ 相続人が相続放棄か限定承認を希望する場合には、原則として死亡から3か月以内に、家庭裁判所でその手続をしなければなりません。

⑤ ご本人の死亡から4か月以内に、相続人が、ご本人の所得税について納税と申告をしなければなりません(これを準確定申告といいます)。

⑥ 原則としてご本人の死亡から10か月以内に、相続税の申告と納付が必要となります。

⑦ したがって、相続税の額や各自の負担額を確定させるため、可能なら、この10か月以内で、相続人間で遺産分割協議を済ませることになります。