お金の問題
民事執行法改正で婚姻費用、養育費等の回収が容易に
令和元年5月10日に、民事執行法などを改正する法律(令和元年法律第2号)が成立しました。
この改正民事執行法は、令和2年4月1日から施行されます。
今回の改正で、債務者の不動産、勤務先、預貯金口座についての調査が容易になります。
ちなみに、これまでにも財産開示手続はありましたが、債務者の任意の回答に頼った制度で、直接第三者から情報を得ることができませんでした。
また、債務者の不出頭や、虚偽陳述に対する罰則も軽いもの(30万円以下の過料)で、効果的ではありませんでした。
そのため、弁護士としては、弁護士会照会により個別に銀行等に調査をかけたり、勤務先情報については探偵業者に依頼するなどして調査するほかありませんでした。
今回の改正後は、裁判所を通じて、財産の情報を持つ第三者(登記所、市町村、日本年金機構、各種共済組合、銀行等金融機関)から直接情報を得ることができるようになります。*1*2
また、財産開示手続きへの不出張や虚偽陳述への罰則も強化されました(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)。
そのため、今後は判決や和解調書などに従った債権回収を図りやすくなることが期待できそうです。
*1 勤務先情報は、養育費や婚姻費用などの扶養料等請求権、人身事故などの生命若しくは身体の侵害による損害賠償請求権に限られます。
*2 不動産や勤務先の情報は、財産開示手続の前置と、申立期限(手続期日から3年以内)があるので注意が必要です。